司法書士による本人確認の方法と非対面対応事例

司法書士・行政書士和田正俊事務所

077-574-7772

〒520-2134 滋賀県大津市瀬田5丁目33番4号

営業時間/9:00~17:00 定休日/日・土・祝

司法書士による本人確認の方法と非対面対応事例

2025/05/06 司法書士による本人確認の方法と非対面対応事例

       著者:司法書士・行政書士和田正俊事務所

 

司法書士の本人確認が必要と言われても、「具体的に何をするの?」「オンラインでも可能なの?」「費用や方法に違いはあるの?」と不安に感じていませんか。

 

とくに不動産の売買や相続手続き、商業登記など、本人確認の不備が後々大きなトラブルや無効につながるケースは決して少なくありません。代理人による申請や郵送でのやり取りが増えている現在、「顔写真付きの本人確認書類の提示」や「面談での意思確認」が本当に満たされているかが問われる時代になっています。

 

この記事では、司法書士による本人確認の具体的な流れから、対面・非対面の手続き方法の違い、注意点、そして「今どき本当に安心できる確認のあり方」までを、実務の視点と法律の根拠を踏まえて丁寧に解説します。

司法書士による経営者支援 – 司法書士・行政書士和田正俊事務所

司法書士・行政書士和田正俊事務所は、経営者の皆様が抱える多様なお悩みに寄り添い、最適な解決策を提供することを使命としております。​当事務所では、相続や信託、離婚問題、成年後見、債務整理など、幅広い分野でのご相談を承っております。​初回相談料は無料で、出張相談も可能ですので、安心してご相談いただけます。​また、専門知識を持つ司法書士・行政書士が連携し、ワンストップサービスで迅速な問題解決を目指しております。​私たちは、お客様に寄り添い、丁寧かつ迅速な対応でサポートいたします。

司法書士・行政書士和田正俊事務所
司法書士・行政書士和田正俊事務所
住所 〒520-2134滋賀県大津市瀬田5丁目33番4号
電話 077-574-7772

お問い合わせ24時間WEB予約

司法書士の本人確認が求められる理由と法的根拠を理解する

本人確認とは何か?司法書士が行う理由と役割

 

司法書士が行う本人確認は、登記や相続などの法的手続きにおいて極めて重要な役割を担っています。本人であることの確認は、単に身分証を提示させるだけの形式的作業ではなく、依頼者の意思が明確であること、法的な権限があることを確認する責務です。特に不動産登記や商業登記では、一度登記が完了するとその取り消しは非常に困難です。したがって、登記の信頼性を担保するためにも、手続きの前提となる「本人性の担保」が欠かせません。

 

本人確認の重要性が増している背景には、社会的な事情も影響しています。高齢化の進展により、意思判断能力に課題のある依頼者も少なくなく、また、認知症による判断力の低下や成年後見制度の対象者が関係するケースも増加しています。これらの依頼者が提出する書類が、本人の真意に基づいているかどうかを確認するため、司法書士は面談を通じた意思の確認を行い、必要に応じて医師の診断書や補助人・成年後見人の関与を確認することが求められます。

 

本人確認の内容 確認方法 主な書類の例 補足事項
身分証の確認 原本提示と顔貌照合 運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等 有効期限内、顔写真付き必須
住所・氏名・生年月日の一致 住民票や印鑑証明との突合 住民票、印鑑証明書 登記申請情報と一致することが必須
意思確認 面談・質問による理解度確認 特定書式は不要 認知機能の確認、高齢者には丁寧な説明を行うこと
権限確認 登記簿や委任状の確認 商業登記簿、代表者事項証明書等 法人や代理人の場合に必要

 

司法書士にとって本人確認とは、制度的な義務を果たすだけでなく、依頼者の安全と社会的信頼を守るための“最後の砦”といえる存在です。この重要性を正しく理解し、日々の業務に取り組むことが、司法書士としての責務であり、社会的役割を果たす上での基本でもあります。

 

本人確認の法的根拠 犯罪収益移転防止法・司法書士法の適用

 

司法書士が本人確認を実施する根拠には、明確な法律の定めがあります。中心となるのが「犯罪収益移転防止法(犯収法)」と「司法書士法」です。これらの法律は、司法書士が単なる代行者でなく、法的手続きを担保する専門家として行動することを求める根拠となっています。

 

犯罪収益移転防止法においては、司法書士は「特定業務を行う者」として分類され、一定の取引に際しては「取引時確認」が義務付けられています。これは、金融機関と同様に、司法書士にもマネーロンダリング対策の一端を担わせるものであり、確認を怠った場合には行政処分や罰則の対象となることもあります。本人確認の記録は7年間保存することが義務付けられており、紙媒体だけでなく電子保存でも可能とされています。

 

司法書士法では、本人確認を直接的に義務づける条文は存在しないものの、「信用失墜行為の禁止」や「誠実義務」「依頼者との信頼関係維持義務」といった規定があり、本人確認を怠った場合には業務上の過失や懲戒事由に該当する可能性があるとされています。実際に、過去には不適切な確認を行った司法書士が業務停止処分を受けた事例もあります。

 

さらに、日本司法書士会連合会が定める業務指針やガイドラインには、本人確認の手続きに関する詳細なルールが明示されています。たとえば、面談による意思確認の具体的手順、本人確認書類の保存方法、委任状や意思確認記録のフォーマットなどが整備されており、これらに沿って業務を行うことが司法書士としての基本動作となっています。

 

法律名 本人確認に関する内容 義務の性質 罰則・処分
犯罪収益移転防止法 本人確認(取引時確認)・記録の作成・保存(7年間)・疑わしい取引の届出 明確な法的義務 行政処分・過料などが科される可能性あり
司法書士法 信用失墜行為の禁止、誠実義務、信頼関係の維持 倫理上・義務規範 懲戒処分(戒告・業務停止・除名)など
日本司法書士会連合会の業務ガイドライン 面談記録の作成、本人確認書類の保存、本人確認記録の様式 実務上の必須運用 会による指導、業務指導・監査の対象となる可能性

 

代理人や本人になりすました申請リスクへの対応

 

司法書士の業務において、本人確認が形式的なチェックで済まされていた時代はすでに終わりを告げています。特に深刻なのが、代理人による虚偽申請や、他人になりすまして行われる登記申請といった「なりすましリスク」です。これらの問題は実際に全国各地で発生しており、依頼人が本当に本人かどうかを見極めるための多層的な確認プロセスが必須とされています。

 

  • なりすましによる不正登記申請
  • 成年被後見人や認知症患者の意思確認不備
  • 委任状の偽造・代筆による虚偽代理人の登場

 

これらのリスクに対し、司法書士は次のような対応策を講じる必要があります。

 

リスクの種類 想定される事例 対応策
他人になりすました登記申請 顔が似ている親族が本人のふりをして登記申請を行う 顔写真付き身分証と実物の照合、面談での質問による意思確認
代理人による虚偽の申請 偽の委任状を使って第三者が登記を進める 電話確認やオンライン面談での本人意思の直接確認
高齢者の意思確認不備 認知症の親を使って子どもが登記を行う 医師の診断書提出、成年後見人制度の活用

 

さらに、本人確認が困難な状況では、次のような補助的手段を組み合わせることが有効です。

 

  • 本人の携帯電話に直接連絡を入れて意思を確認
  • ビデオ通話による顔貌・応答確認
  • 署名筆跡の確認や、以前の記録と照合するアーカイブチェック

 

登記・相続・委任などケース別に解説

不動産登記・相続・法人登記における本人確認の違いと注意点

 

司法書士が取り扱う代表的な手続きのなかでも、本人確認の方法と注意点は手続きの種類ごとに異なります。ここでは、不動産登記・相続・法人登記に分けて、それぞれの違いと確認のポイントを解説します。

 

まず、不動産登記においては、売主・買主ともに重大な権利変動が伴うため、本人確認の厳格さが最も求められます。売買契約書の署名・押印の真偽、代金の授受意思、所有権移転の理解などを面談時に丁寧に確認します。特に高齢者の不動産売却では、家族や不動産業者が介在している場合が多く、本人の意思確認が疎かになりがちなため、慎重な対応が求められます。

 

相続登記の場合には、被相続人と相続人の関係を証明する戸籍謄本類の取得と精査が基本となります。複数人が相続人となる場合は、全員の意思確認と署名・押印の整合性が重要です。以下のようなポイントでの確認が発生します。

 

  • 相続人全員の関与があるか
  • 遺産分割協議書の内容が明確か
  • 印鑑証明書の日付が古すぎないか
  • 被相続人と相続人の関係性が明確か(出生から死亡までの戸籍)

 

一方、法人登記では登記申請の実務処理としての本人確認が中心です。代表取締役や取締役の就任、変更登記などが該当し、本人確認の対象は主に申請者となる代表者です。法人登記では以下の点が確認されます。

 

  • 代表者本人かどうか(身分証確認)
  • 代表者としての権限があるか(登記簿と定款の整合)
  • 定款変更や役員会議事録の整備状況
  • 商業登記法に準拠した書類記載内容

 

手続きごとの本人確認の違いを比較表にまとめると以下のようになります。

 

手続きの種類 主な本人確認の対象 必要書類例 注意点
不動産登記 売主・買主(双方) 身分証、売買契約書、登記識別情報 所有権移転の意思確認、署名・押印の整合
相続登記 相続人全員 戸籍謄本一式、遺産分割協議書、印鑑証明書 相続人の全員確認と同意書類の正確性
法人登記 代表取締役、役員などの申請人 代表者事項証明書、印鑑証明書、定款、議事録 代表者としての権限確認、社内承認の有無

 

同じ「本人確認」であっても、目的や背景が異なるため、それに応じた確認方法と資料の精査が不可欠です。司法書士はその違いを把握し、的確に対応できるスキルと判断力を求められます。

 

法務局や第三者証明による確認パターン

 

面談による本人確認が原則とされている司法書士業務ですが、依頼者が遠方に住んでいたり、体調・環境的な事情で直接来所できない場合には、別の方法での本人確認が行われます。特に近年は、非対面による確認手段の整備が進んでおり、法務局や第三者証明制度を活用するケースが増えています。

 

代表的な方法としては、以下の3つが挙げられます。

 

  1. 郵送による本人確認
  2. 法務局での本人確認手続き
  3. 公証人による本人確認証明

 

まず、郵送による本人確認は最も現実的で広く利用されています。この場合、本人確認書類のコピー(顔写真付き)に加え、住民票、印鑑証明書などの公的証明書類を同封してもらい、司法書士が照合を行います。また、記録郵便や本人限定受取郵便でやり取りすることで、居住実態の裏付けを得ることも可能です。

 

次に、法務局での本人確認制度を活用するケースでは、依頼者が直接最寄りの法務局に出向き、司法書士から送られた質問書や申請関連資料に対して署名・押印・本人確認を受ける流れとなります。法務局職員が第三者として確認を行うため、面談と同等の効力を持ちます。

 

また、公証人による確認も近年注目されています。公証人は、本人の署名や意思確認を「公正証書」として残すため、法的効力のある確認が可能です。特に相続や会社設立などで信頼性が問われる場合には、公証人との連携が有効です。

 

確認手段別の特徴をまとめた表が以下です。

 

確認方法 使用ケース 主な提出書類 メリット
郵送による本人確認 遠方の依頼者、外出困難な高齢者 身分証コピー、住民票、印鑑証明書 比較的手軽。住所確認も可能。
法務局での本人確認 地方在住の依頼者 司法書士が作成した質問書、委任状、各種書類 法務局職員が第三者として確認。信頼性が高い。
公証人による本人確認 相続、会社設立、重要な契約 公正証書、本人確認書類、公証人面談記録 法的効力が強く、裁判でも証拠能力がある。

 

近年はeKYC(オンライン本人確認)を導入する司法書士事務所も増えていますが、インターネット環境や操作スキルの関係で全ての依頼者に適しているわけではありません。そのため、非対面であっても信頼性が確保され、確認記録が法的に証明可能な手段を適切に選ぶことが、これからの司法書士に求められる実務能力といえるでしょう。

 

非対面・オンラインでの本人確認は可能か?対応範囲と手続き方法

eKYCによる本人確認の流れ 対応可能なケースと限界

 

近年のDX推進に伴い、司法書士業務にもデジタル化の波が押し寄せています。その中核を担うのが、非対面型の本人確認方法である「eKYC(electronic Know Your Customer)」です。金融業界での先行導入が注目される中、司法書士事務所でもその活用が急速に進んでいます。

 

eKYCは、スマートフォンやパソコンを使って、依頼者が自宅にいながら本人確認を完結できる仕組みです。主な手順は以下の通りです。

 

  1. 顔写真付き身分証(運転免許証やマイナンバーカード)をスマートフォンで撮影
  2. 本人の顔をリアルタイムで撮影し、AIで照合
  3. 撮影データや確認内容は暗号化され、専用システムで管理・保存
  4. 司法書士がシステム上で確認し、問題がなければ本人確認を完了

 

この方法により、来所が難しい遠方の依頼者や、感染症予防のための接触回避が求められる場面でも、迅速かつ安全な本人確認が可能になります。

 

しかし、eKYCには明確な限界も存在します。例えば以下のような懸念があります。

 

  • 高齢者やIT機器に不慣れな方への操作負担
  • 顔認証の精度が通信環境に左右される可能性
  • 意思確認の精度が視覚情報に限られる
  • 不正操作によるなりすましリスクの排除が難しい

 

導入におけるシステム比較ポイントを表にまとめると、以下のようになります。

 

項目 eKYC対応システム例 比較ポイント
本人確認精度 高(AI顔認証搭載) 照明・画質・通信状況に左右される
操作のしやすさ 中〜低(高齢者には難しい) アプリインストール不要型が望ましい
記録保存機能 高(クラウド記録可) 書類との併用が必要な場合もある
法的信頼性 中(補足対応必要) 意思確認補強手段が必要な場面もある

 

司法書士に求められるのは、技術を鵜呑みにするのではなく、案件ごとに「本当にこの手段で信頼性ある本人確認が可能か」を判断する目と、リスク管理能力です。eKYCは万能ではなく、あくまで確認手段の一つ。ケースに応じて他の手法と組み合わせ、確実な本人確認を実現する必要があります。

 

まとめ

司法書士による本人確認は、ただ形式的に書類を提示するだけの作業ではありません。登記や相続、法人設立といった重要な法的手続きにおいて、本人の意思確認やなりすまし防止の観点から、極めて厳格かつ正確な対応が求められます。

 

本人確認に用いる書類も重要です。運転免許証やマイナンバーカードといった顔写真付き身分証の提示に加え、住民票や印鑑証明書、委任状などの公的書類との照合が行われ、登記簿や戸籍謄本などによる裏付けも慎重に確認されます。

 

この記事では、非対面を含めた多様な本人確認手段の具体的な流れと注意点を整理し、依頼者がどのように安心して手続きを進められるかを徹底的に解説してきました。

 

司法書士への依頼を検討している方や、本人確認の方法に不安を抱えている方にとって、この記事が信頼性の高い判断材料となり、不安の解消とスムーズな手続きの一助になれば幸いです。迷ったまま放置してしまうと、思わぬトラブルや損失につながることもあります。だからこそ、確実で誠実な本人確認の重要性を、ぜひ今一度ご確認ください。

司法書士による経営者支援 – 司法書士・行政書士和田正俊事務所

司法書士・行政書士和田正俊事務所は、経営者の皆様が抱える多様なお悩みに寄り添い、最適な解決策を提供することを使命としております。​当事務所では、相続や信託、離婚問題、成年後見、債務整理など、幅広い分野でのご相談を承っております。​初回相談料は無料で、出張相談も可能ですので、安心してご相談いただけます。​また、専門知識を持つ司法書士・行政書士が連携し、ワンストップサービスで迅速な問題解決を目指しております。​私たちは、お客様に寄り添い、丁寧かつ迅速な対応でサポートいたします。

司法書士・行政書士和田正俊事務所
司法書士・行政書士和田正俊事務所
住所 〒520-2134滋賀県大津市瀬田5丁目33番4号
電話 077-574-7772

お問い合わせ24時間WEB予約

よくある質問

Q.顔写真付きの本人確認書類を持っていない場合でも手続きは可能ですか?
A.顔写真付きの本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)がない場合でも、手続き自体は可能ですが、補完書類の提出が必須となります。具体的には、住民票、印鑑証明書、戸籍謄本、保険証などを2点以上提出し、それらの記載事項を照合する必要があります。さらに、司法書士は本人性の精度を担保するため、追加で面談や電話による意思確認、委任状の筆跡照合を行う場合もあります。不正リスクや偽造リスクを避けるため、確認方法が複層化される傾向にあり、書類だけでなく「誰が依頼しているのか」を総合的に判断することが求められます。

 

Q.本人確認情報の記録はどれくらいの期間保存されるのですか?
A.司法書士が作成した本人確認情報やその記録は、法的義務に基づき原則として7年間保存されます。これは「犯罪収益移転防止法」によって定められており、本人確認を行った際の書類のコピー、記録、面談の結果、意思確認の過程など、すべての確認事項が対象です。また、eKYCやzoomによる非対面確認においては、録画データやキャプチャ画像の保存も義務づけられるケースがあり、デジタル記録のセキュリティ体制やアクセス管理も重要になります。本人確認の精度を担保するうえで、記録の保存義務は単なる形式ではなく、万が一のトラブル発生時に「信頼できる証拠」として機能する重要な要素です。

 

会社概要

会社名・・・司法書士・行政書士和田正俊事務所

所在地・・・〒520-2134 滋賀県大津市瀬田5丁目33番4号

電話番号・・・077-574-7772

TOP